ネック、首から編むトップダウンのセーターが「目からうろこ」の編み方として流行しています。
ネックから編むセーターの前後差をつける、前下がりにするにはどうしたらいいのか、編み方を調べましたのでご紹介します。
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ネックから編むセーターの前後差
ネックから編むセーターでいちばんあった方がいいなと思われるところが、前身頃と後ろ身頃の前後差です。
セーターの前後差とは主に首回りのことで、前下がりで、前よりも後ろの襟ぐりが高くなっているという仕様が普通でした。
ただし、ネックから編むセーターは、輪編みにしてぐるぐると下に編んでいくため、前も後ろも同じかまたはほとんど差がないように見えるものが多いのです。
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セーターの前後差はあった方がいい?
たとえば、トップダウンのセーターとして流行の「働くセーター」のレビューだと
トップダウンで編むセーターとカーデですが、作り方がおもしろいです。
私は前後差があった方が良いので4つですが、作品は素晴らしいと思います。出典:amazon「働くセーター」レビューより
とありますが、このセーターは前後どちらを前にしても着られるというのがコンセプトのセーターなので、後ろと前があえて同じに作られています。
働くセーターに前後差
そのため、レビューの中には
セーターはどの写真を見ても、胸元に弛みジワが寄っていて、何度も編もうとしては、やる気を削がれます。
という意見もあります。
これをなくしたいという場合にも前後差をつけるというのが対策となりそうです。
輪編みの場合に前下がりにするために前後差をつけるには、どのような方法があるのかを調べてみました。
セーターに前後差を出す方法
最初にまとめると、セーター(ベストやカーディガンも同じ)に前後差をつけるには下のような方法がありました。
前後差を出す2つの場所
- ラグラン線やヨークの終わりで前後差を出す
- 襟の部分で前後差を出す
このどちらもが段数を多く編むというものです。
前後差を出すテクニック
その場合、
- 引き返し編みを使う
- 引き返し編みを使わない
2つの方法があります。
もちろん、引き返し編みを使わない方が簡単にできます。
実際にどのようにするのかの方法を見ていきましょう。
「働くセーター」の前後差
「働くセーター」の保里 尚美さんは、セーター他に使える前後差について、自身のインスタグラムに編み図と編み方を掲載してくれています。
やり方としては
ラグランの最後の巻き目段が終わったら、次の段の後ろ身頃から袖半分にかけて「引き返し編み」をする
という方法です。
それにより、前襟が2.5cm前下がりとなります。
働くセーター前後差の無料の編み図
働くセーター作者の方の、無料の編み図が掲載されています。
※編み図と編み方の詳細は
働くセーター前下がりを作りたい
引き返し編みとは
引き返し編みというのは、よく肩の部分に使われる編み方です。
これまでセーターを編んだことのある方は必ず経験があると思います。
ただし上の方法だと、肩でなく、ラグラン線の増やし目が終わったところ、つまり、セーターの途中で引き返し編みを入れるという方法になります。
引き返し編みをしたことのない初心者の方はもちろんですが、肩部分でしか引き返し編みをしたことがないとちょっと意外に感じる方法です。
もちろんプロの方の提示するものですので、ベストな方法であるのは間違いありません。
「とじ・はぎなし ネックから編むセーター」の前後差の方法
トップダウンのセーターの流行を作った本の一つ、「とじ・はぎなし ネックから編むセーター」の編み図も、前後差をつけるように考えられています。
ヨーク(ラグラン線の終わり)において、前後差を増減なく8段平らに編みます」というのがその部分です。
引き返し編みは用いない
引き返し編みは用いないので、先の方法よりもずっと簡単な編み方になります。
解説では
ヨークの終わりに後ろ身頃を3~5cm程度長く編むことに寄り、セーターがとても着やすくなります。
段差部分は袖に拾い目をする
もっともこれにより、3センチ前下がりになるかというと、それよりはやや短い印象です。
あまり段差をつけてしまうと、この8段の段差の部分は、袖の方に広い目をするので、袖が広くなりすぎてしまうので、段数は並太程度のゲージだと8~10段くらいが良いようです。
この本は改訂版が出ています。
風工房の前後差の方法
「風工房のシームレスニット」にも同様の前下がりの前後差が解説されているところがあります。
それによると使われている技法は、ジャーマン・ショートロウという方法です。
引き返し編みの一種で、トップダウンで編み始め方のところでジャーマン・ショートロウで前後差を編み、そのまま輪編みにして下まで編みます。
この部分は本の中では写真で図解が示されています。
セーターの後ろで前後差を出す方法
セーターの編みはじめで後ろだけを先に編み、あとから前と合わせて輪にして編むという方法もあります。
引き返し編みは不要です。
働くセーターの前後差アレンジ
実際に働くセーターを編まれた下の方もその方法です。
『働くセーター』前後・前後ろ関係なく着用できるというのが特徴なのですが、私は首が詰まった服が苦手でして、ほんの少し前後に差をつけるために、初めから輪編みではなく、最初の数段を往復編みにしました。(出典:https://potetoto.com/worksweater-knit/)
これはいちばん簡単そうで、初心者クラスの方でも難しくなくできそうです。
段差に広い目をする難点
ただ、この場合の難点は、段差ができてしまったところに、あとから襟のゴム編み部分を広い目にするのですが、その部分が本とは違ってきてしまうという点です。
段数が数段ならともかくそれ以上多くなると、拾い目をした時に、きれいに拾えない可能性もありますが、簡単に編むならおすすめの方法かもしれません。
セーターの無料編み図
下のサイトには、この方法の詳しい編み方の解説がありますので、参考にしてみてください。
セーターの前後差まとめ
実際にトップダウンで編んでみて不満な点もあったのですが、前後差について調べてみると、トップダウンのセーターの良さが改めてわかりました。
「働くセーター」を始めするトップダウンのセーターには前後差がついていないか、簡易な方法であり、初心者でも無理なく簡単に編むことができます。
これをきっちりと前後差をつけて見た目をよくするには、引き返し編みの技法が必要となるため、編み図を一読しても難しい印象となります。
これだと、見た目は良くなっても「目からうろこの簡単な編み方」からははずれてしまいますし、前後どちらでも着られる耐久性の良いセーター」というコンセプトも違ってきてしまいます。
編む前のレビューだと不満を述べるレビューもあるわけですが、プロの作家さんは自分ならどんなことでもできるわけですが、伝える相手によっては出来ないこともあります。
実際に編んでみたり、編み方を調べたり比較をすると、あえてなぜそういう方法が選ばれているのかがわかります。
時代が変わり編み物もタイムパフォーマンスが重視されるところとなりました。
トップダウンのセーターはぜひ一度は試してみたい編み方です。
トップダウンのセーターの編み物本
「働くセーター」はやはり、一度は編みたい魅力のあるセーターの本です。
こちらの本もトップダウンのセーターでデザインが豊富。
中級~上級者向けだと思います。
初級者向けに丁寧な解説がついています。
メリヤス編みが主体なのですが、オールメリヤスだけでなく模様もちゃんと入るデザインなのでおすすめです。